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合併70周年という記念すべき年に、一つの建物が静かに消えようとしている。苅田歴史資料館である。役場新庁舎建設に伴い解体されることが決まった。
歴史資料館は昭和50年(1975)6月4日、三原文化会館の分館として開館した。文化会館自体は、苅田町在住の実業家・三原作平氏によって寄付された土地の売却金約1億3500万円によって、昭和46年(1971)に建設されていたが、その余剰資金(約2230万円)を使って付属施設として建てられたのが歴史資料館である。
当時、苅田町に文化財担当職員はおらず、毎週水・金曜日のみの限定的な開館だったが、土日も開館してほしいという要望を受けて、かんだ郷土史研究会の会員が一日館長として交替で在館することになった。「場末の骨董屋」と揶揄されたこともある京築で一番古い資料館であり、近年は来館者も多いとはいえなかったが、石塚山古墳に隣接していることから、全国の古墳ファンが訪れる隠れた名所となった。来館者と一日館長は、一期一会の古墳話に花を咲かせた。
今年は昭和になって100年。歴史資料館はきっちり半世紀を生き抜いたのである。
新しい施設の建設が待たれている。
◀歴史資料館オープン
◀歴史資料館建設工事中