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知っておきたい選挙の知識
選挙運動は、本来自由であるべきですが、これを無制限に放置しておくと選挙の公平さを害することがあります。候補者はもちろんのこと、有権者の方々も違反の無い明るくきれいな選挙を推進しましょう。ここでは、公職選挙法で規定されている選挙運動などをお知らせします。
選挙運動編
選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。選挙運動は、本来自由に行われるのが理想ですが、完全に自由にしてしまうと、お金のある人が優位になるなど、きれいな選挙が行われなくなり、本当に有権者の代表としてふさわしい人が選ばれなくなる恐れがあります。そこで、選挙運動の公平と運動費用の軽減などのため、選挙運動について各種ルールがあります。
なお、選挙運動違反の取り締まりは警察が行います。
選挙運動はいつからできるの?
選挙運動ができるのは、公示(告示)日に立候補の届け出をしてから投票日の前日までです。この期間中も、選挙運動用自動車などの連呼行為や街頭演説は午前8時から午後8時までとされています。
事前運動の禁止
立候補の届け出をする前に選挙人に対して、投票を得又は得させる目的をもってする次のような選挙運動は、事前運動として禁止されています。
- 後援会結成趣意書を新聞に折り込んで配る。
- 時候の見舞状や年賀状などを口実に、面識もない有権者に、多数のあいさつ状を配る。
- 著書や演説会のビラ、広告に大きく名前や写真を掲げる。
- 名前や写真を大きく入れた、時候見舞や交通安全のポスターを多数、選挙区内に掲示する。
- 町内会を通じて、会員募集に名をかりて、後援会の結成趣意書を多数配るなど。
事前運動に当たらないもの(立候補届出前でも認められる行為)
- 立候補の準備行為
- 政党の公認を求める行為
- 候補者選考会・推薦会の開催行為
- 立候補のために供託金を供託する行為など
- 選挙運動の準備行為
- 選挙運動費用の調達
- 選挙事務所や自動車、拡声機借入れの内交渉
- 出納責任者や運動員、労働者の内交渉
- ポスター・看板・立札等を予め作成準備しておく行為など
- 政治活動
- 党勢拡張等の活動
- 政策の普及宣伝など
誰でもできる選挙運動は?
立候補届け出から投票日前日までの選挙期間中に誰でもできる選挙運動としては次のようなものがあります。
- 応援演説
候補者が行う個人演説会や街頭演説で、応援演説や幕間演説をすることができます。 - 個々面接による投票依頼
道路上などで、知人や友人に出会った時、その機会を利用して投票依頼することができます。 - 電話による投票依頼
電話を利用して投票を依頼することができます。ただし、選挙運動ですので投票日には当然に禁止されます。
陣中見舞いはもっていけるの?
陣中見舞は、選挙運動に関する個人からの寄附とみなされます。
選挙運動に関する一個人からの寄附は年間150万円以内で金銭・有価証券や物品などもできます。
- 料理、弁当、酒、ビール、ジュースなどの飲食物をもっていくことはできません。
- 企業・労働組合などからの寄附はできません。
- 選挙運動に関する寄付ですから、立候補届出前にすることはできません。
インターネットで選挙運動ができるの?
候補者及び政党等は、ウェブサイト等及び電子メール(制限あり)を利用した選挙運動が可能です。ただし、氏名や電子メールアドレス等の表示義務や一定の記録の保存義務があります。有権者は、ウェブサイト等を利用した選挙運動は可能ですが、電子メールを利用した選挙運動を行うことは禁止されています。
- ウェブサイト等とは、ホームページ・ブログ・ツイッター・フェイスブック等・動画共有サービス・動画中継サイト等をいいます。
- 年齢18歳未満の者は、インターネット選挙運動を含め、選挙運動をすることができません。
どんなことが買収なの?
選挙運動期間中かどうかに関係なく、選挙での当選を目的とし、お金や品物を渡したり、食事やお酒をごちそうしたり、温泉旅行や芝居見物に招待したりすることなどが、買収にあたります。
渡した人やごちそうした人だけではなく、次例のようにお金や品物をもらった人や、食事やお酒をごちそうになった人、温泉旅行や芝居見物に連れて行ってもらった人なども、同じように、罪に問われることになります。
(例)有権者に酒や食事を提供する。
有権者を温泉旅行や観劇に招待する。
候補者の個人演説会に参加してもらうためにバスをチャーターして有権者を会場まで送る。
投票日当日、候補者の陣営が有権者をバスで投票所まで送迎する。
車上運動員(いわゆるウグイス嬢)に対して法律に定める額を超えて報酬を支払う。
選挙運動員に対して実費を超えて実費弁償として金を支払う。
法律上報酬を支給することができる選挙運動に従事する人以外の選挙運動員に、選挙運動(例えば、電話による選挙運動)の対価として報酬を支払う。
買収に関わったらどうなるの?
処罰されます。5年間、選挙権・被選挙権がなくなります。例え刑の執行が猶予されても応援する候補者や立候補を予定している人にも取り返しのつかない影響が及ぶ場合があります(連座制が適用されることがあります。)。
政治活動編
政治活動とは、「一般的には政治上の目的をもって行われる一切の活動、すなわち政治上の主義、施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し又は候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をいう。」ものとされています。したがって、この行為の中には、特定の候補者の当選を図るために行う選挙運動にわたる活動も含まれることとなります。
しかしながら、公職選挙法においては、「政治活動」と「選挙運動」を理論上はっきり区別しており、ここにいう政治活動とは、「政治上の目的をもって行われるすべての行為の中から、選挙運動にわたる行為を除いた一切の行為をいう。」ものとされています。従って、選挙運動にわたる政治活動は、公職選挙法においては政治活動としてではなく、選挙運動としての規制を受けることになります。
日常の政治活動に何か規制はありますか?
政党その他の政治活動を行う団体による政策の普及宣伝、党派拡張などの活動や政治家(現職、候補者、立候補予定者)個人が行う時局講演会、議会活動報告会などの活動は、選挙運動にわたらない限り、自由に行えます。
しかし、今日、選挙が行われていないときであっても、立候補予定者の氏名や後援会の名称を書いた立札、看板等が掲示されるなど、政治家の活動が政治活動なのか、選挙を目的とした選挙運動なのか判断しにくい状況が生じていることから、公職選挙法においては、候補者や後援団体の政治活動について、様々な制限を設けています。
交差点などで候補者等が名前入り「のぼり旗」を立ててもいいの?
街頭演説などで使用するのぼり旗は、公職選挙法では立札及び看板の類にあたります。選挙運動にあたらない純粋な政治活動は原則として自由ですが、純粋な政治活動であっても駅前などで立候補予定者の氏名や氏名が類推される事項を表示したのぼり旗・プラカード・たすき・ジャンパー・裏打ちされた政治活動用ポスターなどを使用することは禁止されています。
選挙運動期間中に候補者自らが使用するたすきや胸章・腕章の類、政治活動のためにする演説会・講演会・研修会その他これに類する集会の場においては、ポスター・立札・看板の類やちょうちんを使用することができます。スライドなどの映写等もできます。
自宅の塀に許可なく候補者のポスターが貼られています。はがしてもいいの?
居住者(管理者)の許可なく貼られたポスターは自分の手で撤去しても選挙妨害とはなりません。ご家族など同居されている方どなたも承諾してないことを確認してからはがしてください。なお、はがした後のポスターの処分については財産権がありますので、ポスターに記載されている掲示責任者や候補者の事務所に連絡して確認をしたほうがよいでしょう。
候補者や後援会の立札や看板についてルールはあるの?
政治活動をする際、公職の候補者など(現職も含む)の氏名や氏名が類推できる事項を掲示することは、公職選挙法で認められた範囲以外は、一般に通年で禁止されています。
但し、公職の候補者やその後援団体などが政治活動のために使用する事務所に立札や看板を掲示する場合には、選挙管理委員会に申請、届出をした後に交付される「証票」を貼付すれば、一定枚数を掲示することができます。
なお、事務所ごとにその場所に掲示されるものであり、事務所の実体のない場所に掲示することはできません。
詳しくは、政治活動用事務所の立札及び看板の証票をご覧ください。
自宅に後援会入会の勧誘に来ましたが違反ではないの?
純粋な後援会入会の勧誘であれば、政治活動として認められています。但し、これが選挙の公示(告示)前に行われた場合、事前運動として選挙違反となる恐れがあります。事前運動に当たるかどうかはそれが行われた時期や場所、投票依頼があったかどうかなどの態様を総合的に判断することとなります。
当選した候補者に「当選祝い」としてお酒や花を持っていけるの?
当選祝いは個人から候補者への政治活動に関する寄附とみなされます。1個人から1候補者への政治活動に関する寄附は年間150万円以内で物品等に限られているので、金銭や有価証券を持っていくことはできませんが、お酒やお花など(飲食物の提供も可)を持っていくことはできます。ただし、当選した候補者がもらったお酒や食べ物等を選挙区内の人に振る舞うと、候補者からの寄付となる恐れがありますので注意が必要です。
※企業や労働組合などの団体は候補者に対して寄附をすることができません。但し、候補者がもらったお酒を選挙区内の人(親族を除く)に振舞うと、候補者からの寄附となる恐れがありますので注意してください。
なお、選挙期日後に当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって当選祝賀会や集会を開催することは禁止されています。
投票編
18歳になったら投票ができるの?
日本国民で、満18歳以上になると選挙権がありますが、地方選挙(知事や市町村長、県や市町村の議員の選挙)については、その区域内に引き続き3か月以上住んでいることが必要になります。
選挙権があっても選挙人名簿に登録されていなければ投票することはできません。その市町村の住民基本台帳に引き続き3か月以上記録されている人、または、引き続き3か月以上記録された後、その市町村から転出し、転出後4か月を未経過である人が、選挙人名簿に登録されます。
投票所で誕生日を聞かれるのはなぜ?
大切な一票を確実にご本人に投票していただくため、投票に来られた方がご本人であることを確認させていただいております。その方法の一つとして誕生日をおたずねしています。万一、他人がなりすまして投票してしまったら、なりすまされた人が投票できなくなることがあります。ご理解とご協力をお願いします。
投票入場券をなくしたらどうしたらいいの?
投票所入場券は、選挙人に対し選挙があることをお知らせするとともに、投票所で選挙人名簿の本人照合をスム-ズに行うためのものです。投票所入場券が届いていない場合やなくしてしまった場合、本人であることが確認できる書類(自動車運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など)を持って、投票所で受付の係員に申し出てください。
自宅で寝たきりの人が投票する方法はないの?
「身体障害者手帳」や「戦傷病者手帳」をお持ちの人で、一定の障がいの程度に該当する場合は、自宅から「郵便等による不在者投票」で投票する方法があります。介護保険の「要介護5」の認定を受けている人も、この制度を利用して自宅で投票することができます。
詳しくは、期日前投票と不在者投票をご覧ください。
外国にすんでいても投票できるの?
仕事や留学などで外国に住んでいても、国政選挙の投票ができる「在外選挙制度」があります。「在外選挙制度」を利用するためには、在外選挙人名簿に登録され、在外選挙人証の交付を受けなければなりません。
詳しくは、在外選挙制度をご覧ください。
その他
立候補にあたっての供託金とは?
各種の選挙において公職の候補者になろうとする方は、立候補の届け出までに選挙ごとに定められている額の金銭またはそれに相当する額面の国債証書を、供託所(法務局)へ供託しなければなりません。これは、当選を争う意思のない人が売名などの目的で無責任に立候補することを防ぐためのものです。
供託額は、町長選挙では50万円、町議会議員選挙では15万円で、一定の得票数を得られない場合は没収となります。
政治家は寄附を禁止されています
政治家(現職の政治家や候補者、これから立候補しようとしている人)は、選挙区内の人や団体に対してお金や物を送ること(寄附行為)は、罰則をもって禁止されたいます。ただし、政治団体や親族に対するもの及び政治教育集会などに関する必要やむを得ない実費の補償(食事の提供を除く)を除きます。また、第三者が候補者等を名義人として選挙区内の人たちに対する寄附をすること、候補者等の後援団体が選挙区内の人たちに対し寄附をすることも罰則をもって禁止されています。さらに、選挙人が政治家に対し、寄附を求めることも禁止されています。
【禁止されている寄附の例】 病気見舞い、お祭りへの寄附や差し入れ、地域行事やスポーツ大会への寄附や差し入れ、葬式の花輪や供花、お中元やお歳暮、本人が出席しない場合の結婚祝いや香典 など
詳しくは、寄附の禁止をご覧ください。